人材育成・社会貢献
琵琶湖博物館 研究倫理研修「博物館の諸活動における倫理的・法的・社会的課題(ELSI)」を開催しました。
2024年11月28日、滋賀県立琵琶湖博物館において、琵琶湖博物館 研究倫理研修「博物館の諸活動における倫理的・法的・社会的課題(ELSI)」(主催:滋賀県立琵琶湖博物館、共催:大阪大学ELSIセンター)が実施されました。
この講座は、主に、滋賀県立琵琶湖博物館の研究者(学芸員)を対象としたもので、34名が参加しました。
<イベント概要>
■ 開催日時:2024年11月28日(木)13:30〜15:30
■ 会場:滋賀県立琵琶湖博物館 セミナー室
■ 主催:滋賀県立琵琶湖博物館
■ 共催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)
■ 開催案内ページはこちら:https://elsi.osaka-u.ac.jp/contributions/3065
本研修の担当講師は、以下の通り。
・岸本 充生(大阪大学ELSIセンター センター長)
・水町 衣里(大阪大学ELSIセンター 准教授)
・鈴木 径一郎(大阪大学ELSIセンター 特任助教)
・鈴木 美香(大阪大学研究オフィス/ELSIセンター 講師)
滋賀県立琵琶湖博物館の芳賀 裕樹 研究部長からの挨拶に続いて、加藤 秀雄 学芸員から研修の趣旨説明が行われました。その後、大阪大学ELSIセンター 岸本 充生 センター長によるミニレクチャーでは、ELSIの考え方や、研究開発のライフサイクルの中でいつどのようにELSIを抽出すべきかが問われているということなどが紹介されました。
研修の後半では、6つのグループに分かれて、博物館における諸活動において、どのようなELSIがあり得るかを考えるグループワークの時間を持ちました。
具体的なテーマは、本研修の参加者から事前にお送りいただいた質問やコメントの内容なども踏まえ、以下の3つを設定し、各テーマにつき2つのグループが取り組みました。
- テーマ1)絶滅危惧種に関する調査・研究を計画しています。この活動を進めるにあたり生じると思われるELSIについて、特に「デジタル化」の観点から「博物館活動のライフサイクル」に即して考えてみてください。
- テーマ2)特定の地域の歴史・文化に関する調査・研究を計画しています。この活動を進めるにあたり生じると思われるELSIについて、特に「デジタル化」の観点から「博物館活動のライフサイクル」に即して考えてみてください。
- テーマ3)地域の小中学校と連携して実施する調査・研究(例えば、地域の食文化と子どもの成長に関する研究)を計画しています。この活動を進めるにあたり生じると思われるELSIについて、特に「デジタル化」の観点から「博物館活動のライフサイクル」に即して考えてみてください。
グループワークの際には、調査・収集から、資料の保管、展示といった「博物館活動のライフサイクル」を意識しながら、加えて、近年推し進められている「博物館活動のデジタル化」も踏まえつつ、課題抽出を進めました。
グループワークの後には、各班での検討結果を発表し、各テーマに関して考慮すべきELSI課題について全体で共有し、意見交換を行いました。
博物館の活動は分野も多岐にわたり、関係するステークホルダーも多様であることが改めて浮き彫りになり、活動する各段階においてデータや資料の取扱い、関係者へ配慮すべきことなど博物館ならではの課題があるということを再認識する機会となりました。また、博物館活動のデジタル化が進むことでより配慮しなければならないELSIもあるということなどを参加者と共有することができました。