人材育成・社会貢献
ELSI Forum 2022「『社会技術』を生み出す:ビジネスとアカデミアの共創実践」を開催しました。
2023年1月27日にELSI Forum 2022「『社会技術』を生み出す:ビジネスとアカデミアの共創実践」を開催しました。
大阪大学社会技術共創研究センター(通称、ELSIセンター)は、新規科学技術のELSI(Ethical, Legal and Social Issues/倫理的・法的・社会的課題)に関する総合的かつ学際的な研究・実践を行なっています。発足からまもなく3年となる今、ELSIセンターでは、学内外の研究者や組織と連携しながら、「社会技術」を多様なステークホルダーと「共創」する、「共創研究プロジェクト」がいくつも立ち上がっています。ELSI Forum 2022では、2022年度に、ELSIセンターと共に研究を進めてきた3名をお招きし、具体的な事例をご紹介いただきました。
当日は33名(登壇者やELSIセンター関係者を含む)が会場に集い、そして、約100名のみなさまに配信を視聴いただきました。
<イベント概要>
■ 開催日時:2023年1月27日(金)第1部 13:30〜15:30、第2部 15:50〜17:00
■ 実施形態:第1部 会場(ナレッジキャピタル内 ナレッジサロン)からのYouTube Live 配信、第2部 会場実施のみ
■ 主催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)
■ 協力:一般社団法人ナレッジキャピタル、大阪大学COデザインセンター、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)
■ 後援:公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)
■ 開催案内ページはこちら:https://elsi.osaka-u.ac.jp/contributions/1925
ELSI Forum 2022は、ライブ配信も行なった第1部と、現地開催のみの第2部からなる2部構成で実施していました。第1部では、ELSIセンターとの共同研究事例3件が紹介されました。これを踏まえた第2部では、事例紹介者を中心に3つのテーマに分かれ、アカデミア・産業界からの参加者での議論が行われました。
当日の様子を簡単にまとめた動画を作成しました。ぜひご覧ください。(2023/4/10 追記)
まずは、簡単にELSI Forum 2022 第1部の内容を振り返ります。
大阪大学ELSIセンター 八木絵香 副センター長から、今回のELSI Forum 2022の開催趣旨や進め方についての説明が、そして、尾上孝雄 大阪大学理事の開会挨拶がありました。
大阪大学ELSIセンター 岸本充生 センター長による、ELSIセンターの概要説明から始まり、3件の事例説明へと進みました。
以下、講演スライド(PDF)も合わせてご覧ください。
「ELSIセンターの概要説明・これまでの歩み」(PDF: 5.4 MB)
岸本充生(大阪大学社会技術共創研究センター センター長/教授)
ELSIセンターは、新しいテクノロジーの倫理的・法的・社会的課題(ELSI)を発見・対応・解決するための社会技術を共創することを目指して設立された拠点であることが示され、またELSI研究が重要となっている背景と理念が説明されました。また、ELSIセンターが行ってきた実践的な研究に焦点を当てつつ、ELSIセンター発足前から現在までの約3年間の多様なプロジェクト群が紹介されました。
事例1「顔認証技術の適正利用に向けた産学共創研究」(PDF: 3.5 MB)
加藤 英人(日本電気株式会社(NEC) スマートILM統括部 シニアプロフェッショナル)
ビジネス開発に携わる立場から、NECの顔認証・生体認証技術と未来ヴィジョン、現在の社会実装状況について紹介がありました。特に、想定される実装時のリスク、NECのビジネス構造について触れ、社会受容性の高いビジネス形成のために、事業開発の全てのプロセスでELSIに配慮する必要性があるとの認識が示されました。
事例2「ELSIに配慮した研究推進のためのハンドブックの策定」(PDF: 2.7 MB)
宮崎 勝(日本放送協会(NHK) 放送技術研究所スマートプロダクション研究部 研究プロデューサー)
公共放送であるNHKのミッション、現在の方向性、NHK技研の研究内容について紹介がありました。進行中の「ユニバーサルサービス」についての研究にふれ、「あらゆる人々」に向けたサービスのための新たな課題として、ELSIを考慮する必要性が出てきたこと、そのために現在作成を進めているELSIハンドブックの概要などが示されました。
事例3「教育データ利活用EdTech(エドテック)のELSI対応方策の確立とRRI実践」(PDF: 8.5MB)
加納 圭(滋賀大学教育学系 教授)
EdTechを実際に開発し実施する研究者として見えてきたEdTechにおけるELSIの重要性への気づき、EdTech先進国である米国のELSIケース調査・対応例の紹介、そして、独自に作成した「EdTechのELSI論点101」の概要の紹介があり、デジタルシチズンシップ教育等、EdTech推進にあたり政策的に必要だとおもわれる諸項目が示されました。
休憩を挟み、第1部の配信終了後に行われた第2部では、事例紹介者を中心に、次の3つのグループに分かれて意見交換を行いました。
グループ1:顔認証技術×新規ビジネスの開発×ELSI対応方策検討
グループ2:放送技術×ELSIに配慮した研究推進×ガイドライン作成
グループ3:Edtech×アカデミア×ELSI論点抽出
意見交換を通じて、企業・組織を通じた共通の関心・課題等も明らかになり、このような場でのオープンな意見交換と交流の継続の重要性が改めて感じられた催しとなりました。
ELSI Forumは来年度以降も開催したいと考えております。
社会技術の共創に関心のあるみなさまのご参加をお待ちしております。
今後の活動の参考にさせていただきますので、よろしければ、アンケートへのご協力をお願いします。
https://forms.office.com/r/eKT903CqhT
(回答は、2023年2月末まで受け付けています)