人材育成・社会貢献

人材育成

SEEDS2021分野横断型ワークショップ 「『科学者は社会に向けてどのような発信をすればよいのか』を考える」@オンライン が行われました。

暑さの残る10月2日(土)の午後、大阪大学SEEDSプログラムと連携し、高校生向けのワークショップを実施しました。

大阪大学SEEDSプログラム(大阪大学の教育研究力を活かしたSEEDSプログラム~未来を導く傑出した人材発掘と早期育成~)は、世界最先端の科学技術にいち早く触れてみたいという意欲的な高校生向けのプログラムです。SEEDSというプログラムの愛称は、「Science & Engineering Enhanced Education for Distinguished Students」の頭文字をとったもので、「これから伸びようとする人材(種:SEEDS)に、大学の研究に触れてもらうことで、研究に対する芽(目)を大きく伸ばしてもらうこと」を目的として、2015年度より実施されています(SEEDSプログラムウェブサイトより)。人文社会系分野や産業界などとの連携を深めつつ、今までの枠を越えた高大接続事業として発展させていくことを目指しているそうです。そこで、2020年度に引き続き、今年度もELSIセンターがワークショッププログラムを提供することになりました。

 

大阪大学ELSIセンター提供
SEEDS2021分野横断型ワークショップ
「『科学者は社会に向けてどのような発信をすればよいのか』を考える」

 

オンライン形式で実施されたワークショップには、SEEDS受講生の中から募集した11人の高校生が参加しました。進行は、八木絵香教授がつとめ、グループファシリテーター(グループディスカッション時のサポート役)として、ELSIセンターのスタッフやELSIセンターが連携するSTiPS(公共圏における科学技術・教育研究拠点)の履修生や修了生が参加しました。

 

参加者募集時の今回のお誘い文はこちら。

科学者(専門家)が社会と関わる機会はたくさんあります。例えば、講演会などで自身の研究についてわかりやすく説明 をしたり、メディアから最新の研究成果についてコメントを求められたり。時にはコロナ禍のような危機の状況において、 政府から科学的な助言を求められることもあります。

そのような場面において、科学的知見を適切に伝えることはそう簡単ではありません。一般の方々が専門的な知識を持たないことがその原因と思われがちですが、それだけではなく、場合によっては、専門家の側が、自らの研究成果を誇張したり、実用化への期待をあおりすぎてしまうが故に、誤解が生まれてしまうこともあります。

今回のワークショップでは、科学に関心のあるSEEDS生のみなさんと一緒に、専門家は社会に向けてどのような発信をすればよいのか、そして、社会の中で専門家はどのような役割を果たすべきなのか、について考えてみたいと思います。

今回は、再生医療分野の研究動向に詳しい八代嘉美教授(神奈川県立保健福祉大学 イノベーション政策研究センター)をゲスト講師としてお迎えしました。八代教授からは、グループディスカッションに向けての、再生医療の現状について、また、研究成果の情報発信についての話題提供をお願いしました。

専門家による話題提供を受けた上で、参加高校生たちはディスカッションを行いました。各グループでは、いろいろな意見が出ていたようです。高校までの勉強ではいわゆる「答え」のある世界で科学や技術について考えることが多いと思います。ところが、現実の社会で研究成果を伝えたり、成果を活用したりする時には「答え」は1つには定まりません。それぞれの立場や文脈によって、何が正しいとされるのか、何を大切にするのかなどが異なるということなどを考えるきっかけになったのではないでしょうか。

最後は、八木教授と八代教授による「科学の研究はとても楽しいし、現場ではワクワクすることもたくさんある。その中で、それぞれの研究者は、社会への発信方法について日々、ジレンマに悩んだり、いろいろなことを考えたりもしている。ニュースなどを見るときには、そんな視点をもってもらえたら嬉しいです」というメッセージで締めくくられました。

 

参加した高校生からは以下のような感想が寄せられました(*編集を加えて掲載しています)。

・研究者が情報を伝える時には、研究の内容以外のいろいろな観点があることがわかった。理科や科学だけではなく、それ以外の力もつけなければと思った。

・少人数でディスカッションでき、意見の違いもあってとても面白かったし、いろいろ考えることができた。

・情報を発信する側にも様々な事情があり、また、私たちに届くまでの過程で情報は異なってくることや、様々な人のフィルターを通って届いているということが分かった。そのことを心に留めて、これから情報を受け取っていきたいと思った。

 


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