人材育成・社会貢献

人材育成

SEEDS2020分野横断型ワークショップ 「社会の中の専門家の役割について考えてみる」@オンライン が行われました。

2020年も終わりに差しかかった12月26日(土)の午後、ELSIセンターは、大阪大学SEEDSプログラムと連携し、「社会の中の専門家の役割」というテーマを掲げた高校生向けのワークショップを実施しました。

大阪大学SEEDSプログラム(大阪大学の教育研究力を活かしたSEEDSプログラム~未来を導く傑出した人材発掘と早期育成~)は、世界最先端の科学技術にいち早く触れてみたいという意欲的な高校生向けのプログラムです。SEEDSというプログラムの愛称は、「Science & Engineering Enhanced Education for Distinguished Students」の頭文字をとったもの。SEEDSプログラムウェブサイトによると「これから伸びようとする人材(種:SEEDS)に、大学の研究に触れてもらうことで、研究に対する芽(目)を大きく伸ばしてもらうこと」を目的として、2015年度より実施されています。

これまで理工系分野に限られていたSEEDSプログラムの活動ですが、2020年以降は新たに人文社会系分野や産業界などとの連携を深めつつ、今までの枠を越えた高大接続事業として発展させていくことを目指しているそうです。その一環として行われたのが、今回のワークショップです。

オンライン形式で実施されたワークショップには、SEEDS受講生の中から募集した16人の高校生が参加しました。講師は、八木絵香教授と水町衣里特任講師がつとめ、グループファシリテーター(グループディスカッション時のサポート役)として、STiPSの履修生など8人も参加しました。

参加者募集時の今回のお誘い文はこちら

新型コロナにまつわるニュースを見聞きする中で、「専門家会議の見解が…」、「科学的な根拠に基づいた提言が…」というフレーズによく出会ったのではないでしょうか。
いま、専門家(科学)と政治の関係の築き方が改めて見直されています。今回のワークショップでは、科学に関心のあるSEEDS生のみなさんと一緒に、社会の中の専門家の役割、そして科学が果たす役割について考えてみたいと思います。

趣旨説明の後は、八木教授から話題提供と問いかけがありました。過去に、専門家(科学)と政治の関係の築き方が注目された海外での事例(BSEやラクイラ地震の事例)を簡単に紹介した後で、それぞれの事例について、「専門家の発言や行動は止むを得なかった」のか、「もっと踏み込んで危険性に言及すべきだった」のかを、少人数のグループに分かれて考えてみました。

各グループでは、いろいろな意見が出ていたようです。グループで話し合ったことを全体で共有した後は、次の話題に移ります。後半のグループディスカッションのテーマは、いままさに進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について。1年ほど前からの出来事や、専門家会議を中心とする科学者の動きをおさらいした上で、再度、前半と同じ問い「危機を目の前にした時、専門家は、科学的見解のみを述べるべきなのか、一歩踏み込んで、対策に影響を与えるべきなのか」ということについて考えてみました。

普段、高校で理科という教科の中で学ぶとき、また、SEEDSプログラムの中で触れる時の「科学」には明確な答えが出せるというイメージがあるかもしれません。ただ、今回のワークショップで扱ったような事例からは、世の中には科学には深く関わるものの科学的な判断だけでは決断できないこと、科学と社会は、なかなかすっきりとは割り切れない複雑な関係であることがわかったのではないでしょうか。高校生のみなさんが普段触れる「科学」とはまた違った側面から「科学」を考える機会になったのではないでしょうか。

受講した高校生からは、以下のような感想が寄せられました。(一部の表現を改変して掲載しています。)

・コロナ騒動が始まってから、毎日のようにテレビなどを通していろいろな専門家の見解を聞いてきたので、そもそもその見解を述べるという一歩踏み込んだことを科学者が行うべきなのかということを問い直す視点がとても面白かったです。
・自分とは全く違う考えを持っている人も多くいて、その相手の意見に対しても、なるほどと思うようなこともたくさんあって、新しい視点を得ることができました。
・だんだんそれぞれの立場や考えがはっきりしてきて活発に話が進んでいたところで時間が来てしまったのが少し残念でした。

今回、SEEDSの受講生に向けて、「社会の中の専門家の役割」ということをテーマにワークショップを実施しました。初の試みということもあって、いろいろ手探りなところもあったのですが、参加者のみなさんにとって何かしら新しい見方を提供できたのであれば嬉しいです。「もう少し議論の時間が欲しかった」という感想もありましたので、次年度以降はもう少しゆったりとしたスケジュールで臨みたいと思います。


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