ELSI NOTE

掲載日:2024年1月24日 最終更新日:2024年1月24日

ELSI NOTE No.36

人事データ分析を利用した男女間賃金格差是正の取組み:株式会社メルカリにおけるケーススタディ

執筆者:工藤 郁子、北川 梨津、林 岳彦、牧野 百恵、岸本 充生

執筆者からのひとこと

2022年7月から、従業員301人以上の企業は、男性に対する女性従業員の賃金平均の割合(%)を示すことが義務づけられました。メルカリは、単純平均で比べることを超えて、同じ等級や職種、年齢や勤続年数で比べても男女賃金格差があることを示しました。本NOTEは、実際の推定式はどのようなものか、関心のある研究者に応える内容です。
牧野 百恵(アジア経済研究所)

企業内のジェンダー格差の要因は複合的であり、その解決のためには緻密な人事データ分析に基づいた地道な検討を積み重ねることが重要です。今回のESLI NOTEは、株式会社メルカリによる極めて先駆的な取り組みを紹介し、ジェンダー格差の要因分析の一つの道筋を示すものです。このESLI NOTEが、我が国におけるジェンダー格差解消の一助となることを祈ります。
北川 梨津(早稲田大学)

今回のケースは、給与モデルの説明変数として俸給表(等級)そのものの情報が使用されている点がポイントだと感じました。こうなると給与モデルでの回帰はある意味で『合って当たり前』で、説明できない『誤差』が出てくる要因は限られており、その部分をインハウスならではの質的・量的な追加分析で原因特定まで寄せきった、というのが全体の印象でした。
林 岳彦(国立環境研究所)

今回扱ったテーマはジェンダーに関する様々な課題のほんの一部です。『説明できない収入格差』とともに『説明できる収入格差』があり、そこには社会的・文化的要因が存在し、長年かけて蓄積された複雑に絡み合った背景があります。そんなやっかいな問題への最初の一歩として男女賃金格差の分析と対応は良い切り口になると思います。
岸本 充生(大阪大学) 

『知的探究心を抑えなくてよいですが、萌芽的・先駆的取組みを伸ばすトーンでお願いします』『細部を突っ込まれるでしょうが、過剰に自分を良く見せようとしないでください』とワークショップ当日に、有識者チーム・メルカリチームに依頼しました。意図を汲んで頂いた議論となり、素敵な人たちだと思いました。ご協力感謝します。
工藤 郁子(大阪大学)

大阪大学学術情報庫OUKA


研究一覧に戻る

ELSI NOTE一覧はこちら