FDプログラム「研究評価を知る-日本の制度と海外の状況」(担当:標葉隆馬 准教授)@オンライン が行われました。

2020年11月24日 掲載

 2020年11月17日、ELSIセンターが主催するFDプログラム「研究評価を知る−日本の制度と海外の状況」@オンライン が行われました。このプログラムは大阪大学新任教員研修プログラムのひとつとなっています。

 講師は、標葉 隆馬 ELSIセンター准教授がつとめ、大阪大学教職員を中心に71名の参加がありました。

 本プログラムは、参加者の皆さんに研究評価制度の現状把握と今後の動向について理解を深めていただくことを目的としています。標葉 准教授より、日本の研究評価制度の概観、国内外で導入されつつある研究評価の新しい視点(インパクト評価など)について説明がなされました。

<プログラム概要>
■ 開催日時:2020年11月17日(火)13:30〜15:00
■ 実施形態:オンライン開催
■ 主催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)

 まず研究評価制度のあり方を支える日本の科学技術政策の現状が手短に確認されました。特に強調されたのは、運営交付金の削減と競争的資金の拡大という流れであり、これに伴って研究者個人の説明責任が増大し、個人の研究業績が評価の対象となることが増えてきたこと、科学技術基本法の改正に伴って人文科学の除外規定が削除されたことによって人文社会系の研究者もこうした潮流に巻き込まれていくだろうといったことが語られました。
 次に、政府が発表した研究開発についての指針などの政策文書を検討しながら、研究評価の対象領域が拡大したことに伴う事務手続き上の負担(いわゆる評価疲れ問題)が広く認識されるようになった一方で、研究がもたらしうる社会経済的インパクトを重視する姿勢は一層強まっているという、政府セクターの動向についての現状認識が示されました。
 さらに、イギリスやアメリカのNSFにおいて用いられている研究評価の仕組みが紹介されました。これらの国々においても同業者からの評価(ピアレビュー)だけでなく、研究が与えるインパクトという次元をより多く研究評価に組み込む流れが続いていること、しかしながらそのことによってインパクトをいかなる指標によって測定するのか、特に教育活動を通してもたらされる様々な効果をどのように捉えていくのかという問題が提起されていることが論じられました。
 最後に、論文や著作といった直接的な研究成果を評価するにあたっても、研究目的や発表媒体における分野ごとの多様性を踏まえた上でいかにして公正な評価を行っていくべきかという課題が提起され、そうした課題に対する取り組みとしてライデン・マニフェストなどが紹介されました。
 こうした議論を受けて、社会へのインパクトを研究評価に組み入れる流れが加速するなかで、インパクトの内実を経済的効果などに切り詰めてしまうのではなく、科学の進展による人類の知識の更新や公正さの実現といった多様な側面がそこに含まれるようにするよう、研究者の側からも働きかけていくことの重要性が強調されました。

以上


人材育成・社会貢献に戻る