人材育成・社会貢献

ELSIセンター研究会

ELSIセンター研究会「未来の社会像を創造する ―データ取引市場における医療データ取扱いに関する論点整理―」を開催しました。

2023年10月5日に、ELSIセンター研究会「未来の社会像を創造する ―データ取引市場における医療データ取扱いに関する論点整理―」を開催しました。この研究会には、登壇者を含めた11名(会場での参加 9名、オンラインでの参加 2名)が参加しました。

<研究会概要>
■ 開催日時:2023年10月5日(木)11:30〜13:00
■ 実施形態:オフライン・オンライン ハイブリッド開催
■ 主催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)
■ 共催:大阪大学ライフデザイン・イノベーション研究拠点(iLDi)PJ1-2
■ 開催案内ページはこちら:https://elsi.osaka-u.ac.jp/contributions/2435

ELSIセンターは、新規科学技術の研究開発や社会実装において顕在化しうる倫理的・法的・社会的課題(ELSI : Ethical, Legal and Social Issues)を早期に見出し、研究開発と並行してELSIに取り組んでいく、ということをミッションの1つに掲げています。

ELSIセンター研究会 シリーズ「未来の社会像を創造する」では、萌芽的な科学技術の領域を1つずつ取り上げ、その技術の社会実装とELSIについて、多様な分野の専門家とともに議論を深めています。

今回の研究会は、データ取引市場における医療データの取扱いについての論点整理を目的として開催しました。

 

大阪大学は、文部科学省「Society 5.0 実現化研究拠点支援事業」に採択され、2018年9月よりデータ取引市場実証フィールド(iLDi)を構想・構築し、社会実装に向けて検証を進めてきました。2023年度からは、医療データを取扱う実証検証が開始されるとのこと。今回の研究会では、医療データ利活用への期待や懸念、社会的受容性について議論しました。

まずは、大阪大学データビリティフロンティア機構 山本 奈津子 准教授より、データ取引市場実証フィールド(iLDi)の概略について説明があり、その後、大阪大学大学院医学系研究科 武田 理宏 教授、そして、大阪大学ライフデザイン・イノベーション研究拠点 岡村 和男 産学共創教授より、現在想定されている医療データを取扱う実証検証についての説明がありました。

 

 

総合討論の時間には、参加者研究者から多様な論点が提示されました。
・説明する際、医療データの利活用でどのような社会貢献ができるのか、具体的なイメージを伴っていければよい。
・一般の人にとってリスクを知ることが難しい場合もあるので、メリットと同時に考えられるリスクも前もって提示されるべきではないか。また本人の選択とは別に、個人や集団の保護に関する対策が重要であろう。
・医療データの利用料の設定は難しく、利益が発生した場合の分配についてもデータ提供者に対する透明性を担保するなどの検討が必要と考えられる。
・医療データは多様であるため、適切なカテゴリー化をするなどして、理解を助ける必要がある。また個人のデータといっても、遺伝情報やパートナーの生活習慣など他者に関わるデータが含まれることもあるため、利用のルールをよく検討する必要がある。

 

「科学者・技術者のみなさんと共に、その科学や技術についてのELSIについて議論する」という取り組みは、今後も積極的に行います。


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