センター長挨拶


社会技術共創研究センター、通称ELSI(エルシー)センターは、新規科学技術の倫理的・法的・社会的課題(ELSI: Ethical, Legal and Social Issues)に関する総合的かつ学際的な研究・実践組織として、2020年4月に大阪大学に設置されました。

ELSIに関する研究はもともと米国でヒトゲノム計画とともに開始されて以来、日本においてもライフサイエンス分野において、主に生命倫理や医療倫理の研究として実践されてきました。近年では、ビッグデータと人工知能(AI)を組み合わせた研究が、情報科学にとどまらず、あらゆる学問分野で実践されるようになり、倫理的・法的・社会的側面を同時に探求することが喫緊の課題となっています。

本センターでは研究対象を、新規科学技術全般に広げ、新規科学技術の研究開発や社会実装において顕在化しうるELSIを早期に見出し、研究開発と並行してELSIに取り組んでいくという、新しいイノベーションのモデルを確立することを目指しています。

センター名には、科学技術と並行して、科学技術と社会をつなぐための取り組みを「社会技術」ととらえ、社会技術を、多様なステークホルダーとともに作り上げていく、すなわち「共創研究」を実践するという意味が込められています。学内での取り組みにとどまらず、同様の課題を抱える他大学や事業者とも連携しながら、社会技術の共創研究を加速していきたいと考えています。

2020年4月1日
大阪大学 社会技術共創研究センター長 岸本充生