人材育成・社会貢献

ELSIセンター研究会

ELSIセンター研究会「未来の社会像を創造する ―新型コロナウイルスの下水疫学とそのELSI―」@オンラインが行われました。

2021年10月11日、ELSIセンター研究会「未来の社会像を創造する ―新型コロナウイルスの下水疫学調査とそのELSI―」@オンラインを開催しました。

ELSIセンターは、新規科学技術の研究開発や社会実装において顕在化しうる倫理的・法的・社会的課題(ELSI : Ethical, Legal and Social Issues)を早期に見出し、研究開発と並行してELSIに取り組んでいく、ということをミッションの1つに掲げています。

今回の研究会は、研究大学コンソーシアム(RUC)が主宰し分野や機関の枠をこえた共同研究をDXによって支援する「MIRAIプロジェクト」における、北島正章 准教授(北海道大学大学院工学研究院)と山本展彰 特任助教(常勤)(大阪大学ELSIセンター)の交流をきっかけとして開催されました。下水疫学調査を取り上げ、この調査にまつわる技術の社会実装と、そのELSIについて議論を深めました。

この日の参加者は、主にELSIセンターの関係者で、登壇者を含めた25名が議論を行いました。

<研究会概要>
2021年10月11日(月)13:0015:00
■ 実施形態:オンライン開催(招待制)
■ 主催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)

この日、話題提供をお願いしたのは、村上道夫 氏(大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)科学情報・公共政策部門 特任教授(常勤))とその共同研究者である北島正章 氏(北海道大学大学院工学研究院 環境工学部門 准教授)です。お二人が取り組まれてきたMARCO(MAss gathering Risk COntrol and COmmunication)という有志の研究チームについて、そして、MARCO の枠組みで実施されてきた下水疫学調査について紹介がありました。

■ 話題提供者:
村上 道夫(大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)科学情報・公共政策部門 特任教授(常勤))
北島 正章(北海道大学大学院工学研究院 環境工学部門 准教授)

村上 特任教授からは、「大規模集会に関する課題解決リスク学」と題して、有志の研究チームであるMARCOのご紹介に続き、スポーツ大会や劇場等の大規模集合イベントにおける感染症のリスク評価や社会実装の例などについてお話しいただきました。

北島 准教授からは、「新型コロナウイルスの下水疫学」と題して、新型コロナウイルス感染症における下水疫学調査の有用性、下水疫学調査の方法や関連する技術、国内外における下水疫学調査の事例、将来展望などについてお話しいただきました。

話題提供の途中から、チャット欄を中心に活発な議論が行われていましたが、話題提供終了後には、本研究会に参加していたELSIセンター関係者も加わって、下水疫学調査にまつわる技術とそのELSIについて、様々な論点が出ていました。

この時間で議論された論点は、以下のようなものでした。

・下水から得られるデータは「個人のデータではない」という前提でよいのか。
・調査の開始前に同意をとるべきか、もしも同意をとるのであれば誰から同意をとるべきなのか。
・調査結果の公開は、どのような状況であれば可能なのか。
など。

新規科学技術の社会への実装が想定され始めた段階で、科学者・技術者のみなさんと共に、その科学や技術についてのELSIについて議論する、という取り組みは、今後も積極的に行っていきたいと考えています。

 


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