人材育成・社会貢献

ELSIセンター キックオフ・トーク を開催しました。

2020年7月1日から3日間連続で、大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター) キックオフ・トークを開催しました。

4月に発足したばかりのELSIセンターのご紹介を兼ねて行った、初めての対外イベントでした。

3日間で、のべ559名(7月1日:223名、7月2日:189名、7月3日:147名)の方にご参加いただきました。
ありがとうございました。

3日間のテーマは次の通りです。
・7月1日「今、なぜ、ELSIセンターなのか」
・7月2日「情報科学とELSI ―AI・データビジネスを例に―」
・7月3日「生命科学とELSI ―再生医療を例に―」

以下、それぞれの日の様子を簡単にご紹介します。

■ 7月1日「今、なぜ、ELSIセンターなのか」

初日は、「今、なぜ、ELSIセンターなのか」というテーマを掲げて開催しました。

まず、尾上孝雄 大阪大学理事・副学長より、開会の挨拶があり、大阪大学として社会技術共創研究センター(ELSIセンター)を発足させた目的などを紹介しました。

続いて、ELSIセンター センター長である岸本充生教授より、ELSIセンターの概要をご説明させていただき、その後、赤坂亮太准教授、そして、標葉隆馬准教授からそれぞれELSIセンターで取り組んでいきたい研究をご紹介させていただきました。

千葉大学の神里達博教授より、ELSIセンターに何を期待するのか、という点からコメントをいただいた後、八木絵香准教授による進行でパネルディスカッションに移りました。

・ELSIセンターがカバーする領域について
・科学者・技術者とELSI研究者がどのように協働していくのかということについて
・「RRI: Responsible Research and Innovation(責任ある研究&イノベーション)」と呼ばれる概念にも発展してきている中で、なぜいまELSIという言葉を使っていくことにしたのかということについて

など、多様な観点からELSIセンターが目指すべき方向性について議論しました。

視聴されていた方からも

・ELSIの問題は、社会情勢により変わっていくのだと理解しました。継続的にウォッチしてガイドラインの改訂等も行っていく必要がある、つまり一回結論が出てもそれで終わりでなくずっと考え続けるべきことということでしょうか。
・活動の成果だけではなく、活動の中で見えてくる多様性やコンフリクトをどれだけ社会に対して見せていくことができるのかということが重要になると思いました。
・話がやや抽象的なので、具体的な科学技術を取り上げて、具体的にどのようなステークホルダーと合意形成を図っていくのかという説明があるとわかりやすいと思います。
・先端生命科学のテーマはどれもELSI検討必須ですね。
・時宜にかなったセンター発足だと思います。一筋縄ではいかないテーマでありますが、極めて重要な役割を担われていることから、今後も活発な活動と情報発信をお願い致します。

など、多くの質問やコメントをいただきました。ありがとうございました。
今後のELSIセンターの活動に活かしていきたいと思います。

*当日の説明スライド(PDF)をご覧いただくことができます。

今、なぜ、ELSIセンターなのか(PDF: 854KB)
岸本充生(大阪大学ELSIセンター センター長/教授)

情報科学とELSI(PDF: 608KB)
赤坂亮太(大阪大学ELSIセンター 准教授)

萌芽的科学技術を巡るELSI/RRI議題の洞察ー先端⽣命科学の事例から(PDF: 1.2MB)
標葉隆馬(大阪大学ELSIセンター 准教授)

■ 7月2日「情報科学とELSI ―AI・データビジネスを例に―」

2日目のテーマは、「情報科学とELSI ―AI・データビジネスを例に―」。
情報技術、特にAI・データビジネスに着目して、これまで行われてきたELSI、中でも、法的な観点から議論を整理し、今後の展開について議論しました。

ELSIセンター センター長である岸本充生教授より、ELSIセンターの概要について簡単にご説明させていただいた後、赤坂亮太准教授による話題提供「AI・データビジネスのリスクと信頼」が始まりました。プライバシーの問題、そして、ブラックボックスの問題について順に「信頼」という観点から紹介がありました。その後、PHP総研/ELSIセンター招へい教員 工藤郁子さんから、赤坂准教授の報告へのコメントをいただきました。初日に参加者の方からいただいた質問やコメントを取り上げつつ、具体的な協働事例をもとにELSI人材が担うべき役割について整理をしていただきました。

後半のパネルディスカッションの進行は、標葉隆馬准教授です。「信頼」というキーワードを様々な角度から考えました。

*当日の説明スライド(PDF)をご覧いただくことができます。
AI・データビジネスのリスクと信頼(PDF: 866KB)
赤坂亮太(大阪大学ELSIセンター 准教授)

AI・データビジネスのリスクと信頼」への若干のコメント(PDF: 1.8MB)
工藤郁子(PHP総研 主任研究員/大阪大学ELSIセンター 招へい教員)

■ 7月3日「生命科学とELSI ―再生医療を例に―」

萌芽的科学技術をめぐるELSIを考える上で、先端生命科学分野におけるこれまでの議論・実践の事例は重要な参照点となります。3日目は、「生命科学とELSI ―再生医療を例に―」というテーマを掲げ、今日本でELSIに関する議論や実践が精力的に進められている再生医療分野の事例に注目し、今後の展開と課題について議論しました。

ELSIセンター センター長である岸本充生教授よりご挨拶をさせていただいた後、標葉隆馬准教授から、「再生医療と社会」を考えたときの課題について、また、よりよいガバナンスを考えていくためにすべきことについて話題提供がありました。続いて、神奈川県立保健福祉大学の八代嘉美教授から「再生医療における社会との対話」というタイトルで、日本再生医療学会による具体的な取り組みなどをご紹介いただきました。

後半は、赤坂亮太准教授による進行でパネルディスカッションを行いました。再生医療の実用化の過程で顕在化した課題は、前日に取り上げたAI・データビジネスにも当てはまる内容が多く、「分野ごとに特有のELSIもあるが、他分野から学ぶことができるものも多い。ELSIを横断的にみていくことが重要である。」という認識を共有しました。

*当日の説明スライド(PDF)をご覧いただくことができます。
再生医療とELSI・メディア・コミュニケーション(PDF: 1.5MB)
標葉隆馬(大阪大学ELSIセンター 准教授)


人材育成・社会貢献に戻る