人文社会科学の知見を通じて、「あらゆる価値が循環する社会」への道筋を描く
国立大学法人大阪大学と株式会社メルカリは、2025年7月1日に、大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)に「メルカリR4Dラボ・大阪大学協働研究所」を設立します。
人文社会科学の知見を通じて、メルカリのミッションでもある「あらゆる価値が循環する社会」への道筋を描くことを目指します。また、メルカリをフィールドワークの場として、企業活動から導かれる様々なテーマを対象にした研究を行い、得られた知見を学術的な成果として広く社会へ還元していきます。
さまざまな研究領域をつなぎ、人文社会科学知の社会実践へ
大阪大学 協働研究所は、企業等から資金や研究者を受け入れて大阪大学内に研究拠点を設置し、共同研究を行う制度です。 2025年7月現在、25の協働研究所が大阪大学内に設置されており、人文社会科学系の協働研究所の設置は初めてです。
大阪大学ELSIセンターは、2020年よりメルカリの研究開発組織 「R4D」と、研究活動や企業活動を対象としたELSI(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues:倫理的・法的・社会的課題)に関する共同研究(https://elsi.osaka-u.ac.jp/research/1028)を進めてきました。「メルカリR4Dラボ・大阪大学協働研究所」では、大阪大学内の複数の部局と連携し、多面的な共同研究を行うことにより、これまでの研究をさらに発展させます。
協働研究所で進める研究内容
「メルカリR4Dラボ・大阪大学協働研究所」では、人文社会科学の知見を通じて、人類が市場やその他のさまざまな場を通じて日常的に行ってきた価値の交換・贈与・共有・流通などにまつわる営みを基礎的・根底的なレベルから問い直し、「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」社会基盤の構築への道を示す「価値循環学」を確立することを目指します。
まず、企業活動の最前線におけるアクチュアルな課題をフィールドとして、新規科学技術の研究開発および新規開発されたサービス・プロダクトの社会実装におけるELSIの抽出を行う。加えて、RRI(責任ある研究・イノベーション)の実践のためのアクションリサーチの推進とモデル形成、および、価値循環学への論点抽出を行います。
さらに、価値循環学の基礎的研究とELSI/RRIの実践研究による社会的インパクトの実現を最大化するための実践的なアウトリーチ活動を推進し、人文社会科学系の産学連携における知識生産および情報発信そのものに関して、メタ的な視点から研究を行います。