イベント開催報告

2021年3月7日 掲載

SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」第2回 @オンライン が行われました。

2021年2月17日(水)、SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」第2回を実施しました。

SpringXは、一般社団法人ナレッジキャピタルが運営するスタートアップ支援のための学びと交流の場で、そこで行われているプログラムの1つが「SpringX 超学校」です。2020年度はオンライン配信が中心になっており、ELSIセンターが提供するシリーズ「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」もオンライン形式で開催しています。

第2回「メルカリR4D が目指す“レスポンシブルな”研究開発スタイルとは?」は、メルカリの研究開発組織 R4D のみなさんをゲストにお迎えしました。この日、リアルタイムで配信をご覧になっていたのは90名でした。

メルカリR4D とELSIセンターは、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)に配慮した新しい研究開発プロセス・社内の人材育成のための教育プログラムをつくることを目的に共同研究を進めています。新たな取り組みに、企業の側は何を期待し、何を得たのか。また、大学はそこにどう関わり、何を見出しているのか。両方の視点から語り合いました。

<研究会概要>
■ 開催日時:2021年2月17日(水)19:00〜20:30
■ 実施形態:オンライン開催(申し込み制でYouTube Live配信)
■ 主催:大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)、公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)、一般社団法人ナレッジキャピタル


■ ゲスト:
高橋 三徳 氏(メルカリR4D Manager)
多湖 真琴 氏(メルカリR4D Operations Manager)
藤本 翔一 氏(メルカリR4D Operations Research Administrator)

■ホスト
岸本 充生(大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)センター長/データビリティフロンティア機構 教授)

■司会
八木 絵香(大阪大学COデザインセンター/社会技術共創研究センター(ELSIセンター) 教授)

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ELSIセンターでは、技術を生み出す側とそれを受け入れる側の間に立って議論を深めることを、そして、得られた知見を社会にフィードバックすることを目指して研究や活動を進めています。「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」(全3回)では、ELSIセンターがこれまで協働してきた企業の方々をお招きし、現場を動かしている方たちと、大学、アカデミアの側がどのように協働できるのか、その結果、何が生まれてきたのかということをできるだけ具体的な事例をもとにご紹介していきます。

ELSIセンターの 八木絵香 教授 より、今回の催しの趣旨やゲストの紹介をさせていただいた後、岸本充生 センター長 より、ELSIへの取り組みがなぜ現代社会で必要とされるのか、について概略をお話しした上で、今回のテーマであるメルカリR4D との共同研究の話題に移りました。

まず、マネージャーの高橋三徳氏から「メルカリR4D」の概要についてご紹介いただきました。メルカリR4D はスピーディーな研究開発と社会実装を目的とした研究開発組織として、2017年12月に設立されました。R4D には、研究 (Research) と4つのD、設計 (Design) ・開発 (Development) ・実装 (Deployment) ・破壊 (Disruption) という意味が込められています。メルカリR4D では「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作る」ことが目指されており、社会実装するところまでを研究開発と捉えているそうです。そのため、新しい活動を社会に発表し実装するには、メルカリR4D のメンバー各自が「これを社会に出しても大丈夫?」と常に問う姿勢が必要であるという問題意識を持っているというお話でした。

今回のSpringX 超学校では、昨年の3月から取り組まれている、メルカリ社内での研究倫理審査プロセスの見直しについて、そして、その過程で始まったELSIセンターとの共同研究について取り上げました。

オペレーションチームのマネージャーである多湖真琴氏からは、社内での研究倫理審査を担当することになった際、現状の研究倫理指針では研究開発と社会実装までを包括的に射程にいれた活用ができず苦労されたこと、だからこそ、研究倫理指針やELSI人材育成の研修体制が整えば、同様の悩みをもつ企業人のためにも積極的に社外にシェアしたいと考えられていることなどが語られました。

研究開発コーディネートなどを担当されているリサーチアドミニストレーターの藤本翔一氏からは、学生時代に科学技術社会論を学び、前職NEDO やメルカリR4D において、科学技術と社会をつなぐ視点を常に意識してきたこと、メルカリR4D で研究倫理指針の改善や高度化に従事することになった時にELSIセンターの岸本センター長に相談したことなど、今回の大阪大学とメルカリとの共同研究に至るまでの経緯が語られました。

岸本センター長からは、メルカリR4D が目指している「社会実装まで視野に入れた研究開発を事前に評価するということ」は、つまり、「テクノロジーアセスメントまでを含めた研究開発プロセスを構築しようとしていること」なのでは、ということに気づき、アカデミックな世界で議論されていることと、メルカリR4D が進めようとしていることがどんどん結びついていった、よい事例になりそうという手応えを感じているというコメントがありました。また、この共同研究を進めることで、アカデミア側からビジネス側に知見を提供するだけではなく、アカデミアで行われている研究開発のあり方を捉え直すこともできるのではないか、といった期待も語られました。

研究倫理審査プロセスの高度化やELSI人材育成など、企業におけるELSIに配慮した研究開発プロセスの普及、が目指されている共同研究。人文・社会科学分野の産学連携共同研究のモデルケースとして、今後の展開を楽しみにしたいと思います。

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SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」第3回「ELSIというビッグウェーブ、乗りこなせるか? のみ込まれるか?」は、2021年3月3日開催です。
詳細は、こちらのページをご覧ください。

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