イベント開催報告

2021年2月9日 掲載

SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」第1回 @オンライン が行われました。

SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」(全3回)がスタートしました。

SpringXは、一般社団法人ナレッジキャピタルが運営するスタートアップ支援のための学びと交流の場で、そこで行われているプログラムの1つが「SpringX 超学校」です。2020年度はオンライン配信が中心になっており、ELSIセンターが提供するシリーズもオンライン形式での開催となりました。

第1回「ELSIを意識した、データビジネスのためのガイドライン」は、一般社団法人LBMA Japan のみなさんをゲストにお迎えして、2021年2月1日(月)に実施しました。この日、リアルタイムで配信をご覧になっていたのは86名でした。

さまざまな業界でパーソナルデータの利活用が進む中で、その取り扱いへの不安の声も聞かれます。そんな中で、2020年6月、位置情報データを利活用する事業者向けのガイドライン策定したのが一般社団法人LBMA Japanです。このガイドラインを策定の経緯や、そこに大学の研究者がどのように関わったのかということなどをお伺いしました。

<研究会概要>
■ 開催日時:2021年2月1日(月)19:00〜20:30
■ 実施形態:オンライン開催(申し込み制でYouTube Live配信)
■ 主催:大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)、公共圏における科学技術・教育研究拠点(STiPS)、一般社団法人ナレッジキャピタル


■ ゲスト:
川島 邦之 氏(一般社団法人LBMA Japan 代表理事/Pinmicro株式会社 取締役CRO)
内山 英俊 氏(一般社団法人LBMA Japan 理事/株式会社unerry 代表取締役CEO)
山下 大介 氏(一般社団法人LBMA Japanガイドライン委員会 主任編集委員/株式会社ブログウォッチャー プロファイルパスポート事業部)

■ホスト
岸本 充生(大阪大学社会技術共創研究センター(ELSIセンター)センター長/データビリティフロンティア機構 教授)

■司会
八木 絵香(大阪大学COデザインセンター/社会技術共創研究センター(ELSIセンター) 教授)

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まずELSIセンターの 八木絵香 教授 より、今回のシリーズ「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」の趣旨について説明がありました。

ELSIセンターでは、新技術を開発する側と、受け入れる社会の側に立って議論、知見を深めるために研究を進めています。今回のシリーズは、実際にこれまで協働してきた企業の方々をお招きし、現場を動かしている方たちと、大学、アカデミアの側がどのように協働できるのか、その結果、何が生まれてきたのかということをできるだけ具体的な事例をもとにご紹介していきます。

続いて、本シリーズを通してホストをつとめる 岸本充生 センター長 より、ELSI(倫理的・法的・社会的課題)への取り組みがなぜ現代社会で必要とされるのか、について概略をお話しした上で、今回のテーマでもある、位置情報データ運用に関するガイドライン策定の話題に移りました。

今回のゲスト3名は、一般社団法人LBMA Japanからお招きしました。LBMA Japanは、位置情報データを活用したマーケティングやサービスを推進する事業者団体で、2019年に15社でスタートしました。ガイドラインを策定する上で、なぜELSIに向き合おうと思ったのか、アカデミアとの協働でどのようなことがあったのか、などについて、それぞれお話しいただきました。

代表の 川島邦之 氏 からは、2014年ぐらいから位置情報データを活用したサービスを展開していく中で、パーソナルデータを巡ってはいわゆる炎上事例なども出てきて、法律的には問題ないとしても、誰にどう承認をとっていけば社会に受け入れてもらえるのかという難しさを感じるようになったこと。そして業界の共通ガイドラインを策定しようと考えていたときに、ELSIという視点に出会ったことなどをご紹介いただきました。

実際にガイドラインの取りまとめを担当した 山下大介 氏 からは、法律に依拠できないところを、周りの人、参画している企業、社会全体とどうやって合意形成を図るか悩んでいたものの、ELSIの視点を当てはめてみるとぴったりだと感じたこと。また、その視点でまとめたものを、関係省庁や識者、加盟している企業、社内でも弁護士や社員と話してみると「安心できる」と好評であったこと。今後の法整備についても業界として主体的に携われる可能性を見出し、ガイドライン策定の意義を感じているということなどをお話いただきました。

内山英俊 氏 からは、今回のガイドラインを社会実装としてどのように活用しているのか、ELSIの視点をどのようにビジネスに活かしているのかということをお話しいただきました。特に、リアルな社会のデータを社会に活かす一つの事例として、昨年来のコロナ禍における混雑状況を知らせるサービス「お買物混雑マップ」についてご紹介いただきました。

視聴者からの質問なども交えながら、ホストの岸本センター長からはこんな問いかけもありました。
「アカデミアと協働してみて、実際にどうでしたか?」

川島 氏 からは、「大学との共同研究というと、技術提携という意味での産学連携の経験はあったが、倫理学の研究者との連携は初めてで、はじめはそんな学問あった?という感じだった。驚くほどの長時間のディスカッションをしたことも印象に残っています」というコメントがありました。

山下 氏 は、「倫理学の考え方、言葉の使い方に触れて、自分の中でふわっとしていた部分が明確になって腑に落ちてくる感じがした」とのこと。

内山 氏 は、「今の会社では、ELSIの法律(L)は弁護士、社会(S)の部分はマーケティング担当となっているけれど、ソーシャルグッドを目指す会社としては、エシカル(E)を担保するときに何をベースにして良いかわからなかったので助かった」とのこと。

その他、「攻めのELSIとは何か」「ELSIを企業と共に考える時、アカデミアの立ち位置はどうあるべきか」などのテーマについて、活発な議論が交わされました。
あっというまの1時間半でした。

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SpringX 超学校「ビジネスとアカデミアのタッグで挑む、攻めのELSI」第2回「メルカリR4Dが目指す”レスポンシブルな”研究開発スタイルとは?」は、2021年2月17日開催です。
詳細は、こちらのページをご覧ください。

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