イベント開催報告

2020年10月8日 掲載

ELSIセンター研究会「新型コロナウィルス感染症問題をめぐる専門家助言の在り方」@オンライン が行われました。

2020年9月29日、ELSIセンター研究会「新型コロナウィルス感染症問題をめぐる専門家助言の在り方」@オンライン が行われました。

新型コロナウィルス感染症対策は、多様な専門知を活かして対応を行う必要のある「災害」であり、現在進行形で事態が推移しています。そのような中では、多様な専門知を活用した、きめの細かい「災害」対応が必要になります。しかしながら、そのような多様な専門知を活用する専門家助言(あるいは科学的助言)の制度が、日本で十分に構築されてきたかは心許ないものがあります。

このような中で、本研究会は、新型コロナウィルス感染症対策に関わるELSI研究者をお招きし、お話を伺いながら、日本が抱える専門家助言(あるいは科学的助言)の在り方、またその制度・構造的課題について検討しました。この日は、27名(含、登壇者や運営スタッフ)が参加しました。

<研究会概要>
■ 開催日時:2020年9月29日(火)13:30〜16:00
■ 実施形態:オンライン開催(招待制)
■ 主催:大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)

■ 話題提供者:
田中 幹人(早稲田大学大学院政治学研究科 准教授)「専門家助言とリスクコミュニケーション」

佐藤 靖(新潟大学創生学部 教授)「科学的助言の制度的展開」

武藤 香織(東京大学医科学研究所 教授)「専門家助言の在り方とELSI」

■ 総合討論まとめ:
岸本 充生(大阪大学ELSIセンター センター長/教授)

■ 司会:
標葉 隆馬(大阪大学ELSIセンター 准教授)

まずELSIセンターの 標葉 隆馬 准教授 より、この研究会のねらいについて簡単にご説明させていただいた後、早稲田大学の 田中 幹人 准教授 から「専門家助言とリスクコミュニケーション」というタイトルで、新型コロナウィルス感染症対策アドバイザリーボードやコロナ専門家有志の会のメンバーとして専門家助言やリスクコミュニケーションに関わるなかで見えてきた課題についてお話いただきました。

次に新潟大学の 佐藤 靖 教授 から「科学的助言の制度的展開」というタイトルで、2010年代に入ってますます議論が盛んになってきた科学的助言の概念と制度の歴史的展開についてお話いただきました。

最後に東京大学の 武藤 香織 教授 から「専門家助言の在り方とELSI」というタイトルで、新型コロナウィルス感染症対策専門家会議から新型コロナウィルス感染症対策分科会に至るまで、最前線で新型コロナウィルスに関する科学的助言に関わってきた経験と、政府・行政・メディアに対して働きかけるなかで生じたELSI課題の見通しについてお話いただきました。

一連のお話を受けて、ELSIセンターセンター長である 岸本 充生 教授 から、科学的助言において目指すべきだとされてきたリスク評価とリスク管理の区別という原則を新型コロナウィルスの事例において単純に貫徹することの難しさが確認された後、具体的なリスクのありように即してこの二つの活動の境界をどのように引き直していくべきなのかを考えるという方向性が提起されました。

最後のディスカッションでは、参加者から書き込まれた質問を受けながら、行政や自治体によるリスク管理のやり方次第では社会的弱者や特定の職業に対する偏見や差別が助長されてしまうのではないかといった懸念、危機が常態化するにしたがってた社会的手当の不平等がそのまま放置されてしまう危険性、そうした状況においてELSIに関わる人文社会系の研究者が広く問題に関わっていくためにはどのような姿勢が必要かといった課題群が議論されました。登壇者のお話とその後の議論によって、現在の日本社会において科学的助言・専門家助言の仕組みをよりよく機能させるために解決しなくてはならない諸課題が浮き彫りにされました。

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